プラセンタ注射は女性が打つもの?男性も受けられる?効果・目的・注意点を医師が解説

はじめに|プラセンタ注射は女性だけのもの?
「プラセンタ注射って女性が打つものでは?」
「男性がプラセンタを打っても大丈夫?」
「疲れが気になる男性にも使える?」
「男性更年期にもいいと聞いたけれど、本当?」
プラセンタ注射には「美容」「更年期」といったイメージが強いため、女性向けの治療だと思っている男性は少なくありません。
しかし結論からいうと、
プラセンタ注射は女性だけが受ける治療ではありません。男性が使用することもできます。
ただし、ここで重要なのが、
「男性も受けられる」ことと、「男性のあらゆる不調に効果が認められている」ことは別
という点です。
プラセンタ注射には国内で承認されている医薬品があり、製剤によって承認されている効能・効果が異なります。
ラジニアクリニックで使用しているラエンネックの国内承認効能は「慢性肝疾患における肝機能の改善」です。性別を女性に限定した薬剤ではありません。PMDA
一方、もう一つの代表的なプラセンタ製剤であるメルスモンは、「更年期障害」「乳汁分泌不全」が承認効能です。PMDA
この違いを知らずに、
「プラセンタ=女性ホルモンの注射」
「男性が打つと女性っぽくなる」
と誤解している方もいます。
この記事では、男性の視点から、
- プラセンタ注射は男性でも受けられるのか
- なぜ女性向けというイメージがあるのか
- ラエンネックとメルスモンの違い
- 男性は何を目的に検討するのか
- 疲労や美容目的は医学的にどう考えるか
- 男性更年期に効くのか
- テストステロンは増えるのか
- EDやAGAへの効果はあるのか
- 副作用・安全性
- 2026年10月から変わった献血ルール
まで詳しく解説します。
結論|プラセンタ注射は男性も受けられる。ただし「何のために打つか」が重要
プラセンタ注射は、男性でも受けることができます。
特にラエンネックは、国内では
「慢性肝疾患における肝機能の改善」
を効能として承認されており、男性・女性のどちらかだけを対象とした医薬品ではありません。PMDA
一方、美容医療の現場では、
- 肌のコンディション
- 疲れやすさ
- 年齢に伴う体調変化
- 美容・健康管理
などを目的として自由診療で案内されることがあります。
ラジニアクリニックでも、現在プラセンタ(ラエンネック)を使用した注射を行っています。院内の現行料金資料では1A 1,650円(税込)から案内しています。
ただし、
美容、疲労回復、男性更年期、ED、男性ホルモン増加などは、ラエンネックの国内承認効能そのものではありません。
「プラセンタなら何にでも効く」と考えるのではなく、目的と医学的な位置づけを分けて考えることが大切です。

そもそもプラセンタとは?
「Placenta(プラセンタ)」は、英語で胎盤を意味します。
医療用のプラセンタ注射では、ヒト胎盤を原料として製造された医薬品が使用されています。
国内で代表的なのが、
ラエンネック
と
メルスモン
です。
どちらもヒト胎盤由来の製剤ですが、同じ薬ではありません。
ラエンネックとメルスモンは何が違う?
ここは男性がプラセンタを理解するうえで非常に重要です。
| ラエンネック | メルスモン | |
|---|---|---|
| 原料 | ヒト胎盤由来 | ヒト胎盤由来 |
| 国内承認効能 | 慢性肝疾患における肝機能の改善 | 更年期障害・乳汁分泌不全 |
| 女性限定か | いいえ | 承認効能上、女性特有の疾患を含む |
| 主な投与方法 | 皮下・筋肉内注射 | 皮下注射 |
| ラジニアクリニック | 使用 | 現在はラエンネックを使用 |
ラエンネックの添付文書では、効能・効果は「慢性肝疾患における肝機能の改善」と明確にされています。PMDA
メルスモンは「更年期障害、乳汁分泌不全」が承認効能です。PMDA
「プラセンタ=女性の更年期治療」というイメージがある背景には、メルスモンのこうした承認用途も関係しています。
しかし、プラセンタ製剤をすべて「女性用の注射」と考えるのは正確ではありません。

なぜ男性もプラセンタ注射を受けているの?
男性がプラセンタ注射を検討する理由は一つではありません。
美容医療・自由診療では、
「疲れやすさが気になる」
「年齢とともにコンディションが変わってきた」
「肌の調子も気になる」
「定期的な健康管理として検討したい」
という相談があります。
ただし、この部分は承認された医薬品としての効能と、自由診療で利用されている目的を分けて理解する必要があります。
ラジニアクリニックの既存プラセンタ記事でも、プラセンタ注射の効果・副作用・注意点について詳しく解説しています。
▶ プラセンタ注射とは?期待できる効果・副作用・注意点を詳しく見る
今回の記事では特に「男性が受ける場合」に絞って解説します。
男性の疲労感にプラセンタ注射は効く?
「最近疲れが取れないからプラセンタを打ちたい」
という男性もいます。
しかし、ここは少し慎重に考える必要があります。
ラエンネックの国内承認効能はあくまで、
慢性肝疾患における肝機能の改善
です。PMDA
つまり、
一般的な疲労回復を目的とした薬として承認されているわけではありません。
疲れが続く場合には、
- 睡眠不足
- 過労
- 貧血
- 糖尿病
- 甲状腺疾患
- 肝疾患
- 睡眠時無呼吸症候群
- 男性ホルモン低下
- 精神的ストレス
など、別の原因が隠れていることもあります。
「疲れた=とりあえずプラセンタ」と考えるのではなく、強い疲労が続いている場合には原因を確認することも大切です。
男性の美容目的でも受けられる?
男性でも美容を目的にプラセンタ注射を希望することはできます。
ラジニアクリニックでも美容注射の一つとしてプラセンタ注射を案内しており、現在の公式ページでは**1A 1,650円(税込)、2A 3,300円(税込)**と掲載しています。ラジニアクリニック – 形成外科・美容外科・皮膚科・美容皮膚科
ただし、
「プラセンタ注射をすればシミが消える」
「肌が必ず白くなる」
「若返る」
といった効果を保証できる治療ではありません。
シミ、くすみ、毛穴、ニキビ跡などは、それぞれ原因に応じた治療があります。
肌の悩みが明確な場合には、プラセンタ注射だけに限定せず、適切な美容皮膚科治療を選ぶことが重要です。

男性更年期にプラセンタ注射は効果がある?
ここは男性向け記事で特に誤解されやすいところです。
40代以降の男性で、
- 疲れやすい
- やる気が出ない
- 性欲が落ちた
- EDが気になる
- 集中力が低下した
- 睡眠の質が悪い
などがあると、
「男性更年期かもしれない」
と考える方がいます。
男性更年期として知られる**LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)**では、テストステロン低下などを含めた評価が重要です。日本泌尿器科学会の資料でも、LOH症候群ではテストステロンの評価や、適応に応じたテストステロン補充療法などが中心に位置付けられています。日本泌尿器科学会
一方、
プラセンタ注射はLOH症候群の標準治療として承認されているわけではありません。
したがって、
「男性更年期っぽいからプラセンタを打っておけばよい」
とは考えない方がよいでしょう。
症状が続く場合には、男性ホルモンだけでなく、睡眠、ストレス、生活習慣病なども含めて評価する必要があります。
プラセンタ注射でテストステロンは増える?
現時点で、
プラセンタ注射によって男性のテストステロン値が上がることを、一般的な治療効果として断定できる根拠はありません。
ラエンネックの承認効能にも、
- テストステロン増加
- 男性ホルモン改善
- 性欲増強
- 男性更年期治療
は含まれていません。PMDA
そのため、
「プラセンタ=男性ホルモン注射」ではありません。
男性ホルモン低下が疑われる場合は、必要に応じてテストステロン値などを確認し、原因に応じた対応を検討します。
プラセンタ注射でEDは改善する?
プラセンタ注射は、ED治療薬ではありません。
ED治療として、
プラセンタ注射による勃起機能改善が国内で承認されているわけでもありません。
EDには、
- 血流低下
- 糖尿病
- 高血圧
- 神経障害
- 男性ホルモン低下
- ストレス・プレッシャー
- 薬剤
など多くの原因があります。
EDが気になる場合には、プラセンタ注射をED治療の代わりにするのではなく、EDの原因に合わせて治療を考えることが重要です。
プラセンタ注射でAGA・薄毛は改善する?
こちらも同様です。
プラセンタ注射は、AGA(男性型脱毛症)の標準治療ではありません。
AGAでは、
- フィナステリド
- デュタステリド
- ミノキシジル
など、AGAの状態に応じて治療を検討します。
「プラセンタを打てば髪が生える」と考えるのは適切ではありません。
男性の薄毛が気になる場合には、まずAGAなのか、それ以外の脱毛症なのかを確認することが重要です。

プラセンタ注射の副作用・リスク
プラセンタ注射も医薬品です。
副作用がまったくないわけではありません。
ラエンネックの添付文書では、重大な副作用としてショックが頻度不明で記載されています。その他にも過敏症などが報告されています。PMDA
メルスモンでも、
- 悪寒
- 悪心
- 発熱
- 発赤
- 発疹
- 注射部位の疼痛・発赤
などが記載され、重大な副作用としてショックが挙げられています。PMDA
施術後に強い体調変化がある場合は医療機関へ相談してください。
ヒト胎盤由来製剤だからこそ知っておきたい安全性
ラエンネック・メルスモンはいずれも特定生物由来製品です。
ラエンネックでは、原料となるヒト胎盤について問診・感染症検査を行い、HBV、HCV、HIVなどに対する核酸増幅検査(NAT)や製造工程での安全対策が実施されています。PMDA
メルスモンについても感染症スクリーニングや製造工程での加熱・滅菌処理が行われています。PMDA
一方で、添付文書では、
ヒト胎盤を原料としている以上、感染症伝播のリスクを完全には排除できない
ことも明記されています。PMDA
この点を理解したうえで治療を受けることが重要です。
プラセンタ注射をしたら献血できない?
ここは2026年10月1日から大きくルールが変わりました。
以前は、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤を一度でも使用した方は、原則として期間を定めず献血をご遠慮いただく扱いでした。
しかし日本赤十字社は、2026年10月1日から献血基準を変更しました。
国内承認されている、
ラエンネック
メルスモン
については、
最終使用日から3か月間は献血不可
ですが、
3か月経過後は献血可能
となりました。日本赤十字社
これは非常に大きな変更です。
ただし、最終的な献血可否は当日の問診・健診医の判断となります。
また、この変更は国内承認のラエンネック・メルスモンが対象です。海外製などその他のプラセンタ製剤を使用した場合まで同じルールとは限りません。日本赤十字社

男性がプラセンタ注射を受ける頻度は?
「週に何回打てばいいですか?」
という質問もあります。
しかし、目的によって考え方は異なります。
ラエンネックの承認用法では、慢性肝疾患に対して通常成人1日1回2mLを皮下または筋肉内に投与し、症状によって1日2〜3回投与できるとされています。PMDA
一方、美容・健康管理など承認効能とは異なる目的で自由診療として受ける場合に、
「週○回受ければ必ず効果が出る」
という一律の基準があるわけではありません。
体調、目的、投与量などを確認して医師と相談してください。
ラジニアクリニックのプラセンタ注射
ラジニアクリニックでは、ヒト胎盤由来プラセンタ製剤ラエンネックを使用しています。
| 投与量 | 料金(税込) |
|---|---|
| 1A | 1,650円 |
| 2A | 3,300円 |
| 3A | 4,950円 |
| 4A | 6,600円 |
としており、1Aにつき1,650円、最大4Aまでの設定があります。
実際の投与量については、体調、既往歴、目的などを確認したうえで判断します。
よくある質問
Q. プラセンタ注射は男性が打っても大丈夫ですか?
男性でも受けることができます。
特にラエンネックの国内承認効能は「慢性肝疾患における肝機能の改善」であり、女性だけを対象とした医薬品ではありません。PMDA
Q. 男性がプラセンタを打つと女性ホルモンが増えますか?
プラセンタ注射を「女性ホルモン注射」と考えるのは適切ではありません。
ラエンネックは女性ホルモンを補充するための医薬品ではありません。
Q. プラセンタ注射でテストステロンは増えますか?
テストステロンを増やすことは、ラエンネックの国内承認効能ではありません。
男性ホルモン低下が疑われる場合は、必要に応じてテストステロン値などを評価します。
Q. 男性更年期ならプラセンタを打った方がいいですか?
男性更年期・LOH症候群の標準治療としてプラセンタ注射が承認されているわけではありません。
疲労、性欲低下、ED、気分の変化などが続く場合には、まず原因を確認することが重要です。
Q. プラセンタ注射でEDは改善しますか?
プラセンタ注射はEDの承認治療ではありません。
EDには血流・神経・ホルモン・心理的要因などさまざまな原因があるため、EDとして適切な評価・治療を行います。
Q. プラセンタを打ったら献血できなくなりますか?
現在は永久に献血できなくなるわけではありません。
2026年10月1日から、国内承認のラエンネックまたはメルスモンについては、最終使用日から3か月経過後に献血可能となりました。日本赤十字社
Q. プラセンタ注射に副作用はありますか?
あります。
注射部位の痛み・発赤、過敏症などが起こる可能性があり、まれですがショックも添付文書に記載されています。PMDA
Q. 男性でも美容目的で受けられますか?
自由診療として美容目的で提供される場合があります。
ただし、美容目的はラエンネックの国内承認効能そのものではありません。治療内容・期待できる範囲を理解して受けることが大切です。
Q. 男性でも保険診療でプラセンタ注射を受けられますか?
保険適用は「男性か女性か」だけで決まるものではなく、疾患・診断・使用する製剤の承認適応などによって決まります。
美容・健康管理・一般的な疲労などを目的としたプラセンタ注射は、通常は自由診療として扱われます。
まとめ|プラセンタは女性専用ではない。ただし万能な「男性向け健康注射」でもない
プラセンタ注射は、
女性だけが受ける治療ではありません。
男性も受けることができます。
特にラエンネックは、
「慢性肝疾患における肝機能の改善」
を承認効能とする医薬品で、女性限定ではありません。PMDA
一方で、
疲労回復
男性更年期
テストステロン増加
ED改善
AGA治療
若返り
などをすべてプラセンタの効果として一括りにするのは適切ではありません。
男性がプラセンタを検討するときには、
「男性でも打てるか?」
だけではなく、
「何を目的に打つのか?」
を考えることが重要です。
また、ヒト胎盤由来製剤であるため、副作用だけでなく、感染症伝播リスクを完全には排除できないことについても理解したうえで使用します。
そして2026年10月1日からは献血ルールも変更され、国内承認のラエンネック・メルスモンについては、最終使用から3か月経過後であれば献血可能となりました。日本赤十字社
「女性向けだと思っていたので相談しにくかった」という男性も、目的や体調についてまず医師へ相談してください。
関連ページ
参考資料
PMDA「ラエンネック 添付文書」
国内承認効能、用法・用量、安全性、ヒト胎盤由来製剤としての注意事項を参照。PMDA
PMDA「メルスモン 添付文書」
国内承認効能、副作用、安全性について参照。PMDA
日本赤十字社「ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に関する献血基準の変更」
2026年10月1日以降の献血基準について参照。日本赤十字社
日本泌尿器科学会「LOH症候群に関する資料」
男性更年期・テストステロン低下の考え方について参照。日本泌尿器科学会
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。プラセンタ注射の適応、投与量、頻度については、疾患・体調・治療目的により異なります。
監修:形成外科専門医・JSAPS(日本美容外科)専門医 植木 健太郎